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心に残る恩師の言葉①「恥ずかしがって人に夢を語れない奴の、夢は絶対叶わない」

「恥ずかしがって人に夢を語れない奴の、夢は絶対叶わない。」
これは中学3年生の時の担任で、体育教師だったY先生の言葉だ。

 

3年生のときに学校に転任してきた彼は、エネルギッシュで、それまでの学校にはいないタイプの教師だった。

赴任したその日からぐいぐいと周りを引っ張り、既存の決まり事なんか無視して自分のやり方を貫く人だった。

生徒からは頼られることもあれば、煙たがられることもあった。

私も当時は我が強く、彼の考えに納得できないことも多く、よく口論したものだ。

 

ある日、朝の会で「1分間スピーチ」をすることになった。

テーマは「私の夢」。出席番号の逆順で順番に発表していく。

よくある課題だが、中学3年生にもなると、現実を少しずつ意識し始め、「夢なんて恥ずかしい」と、言葉を濁す生徒が多くなる。
「夢はありません。」
そんな風に言う生徒が何人か続いたとき、先生が堪えきれず、こう言い放った。

 

「夢がないなんてわけあるか!まだ中学生だぞ。何を夢にしたって恥ずかしくない。本当は心に秘めたものがあるのに、それを恥ずかしくて言えないなら、そんな奴の夢は絶対叶わない。恥ずかしがって人に夢を語れない奴の、夢は絶対叶わないからな!」

 

 

しんと静まり返る教室。どれほどの生徒にその言葉が刺さったのかはわからない。

でも、私はその瞬間、胸を貫かれたような気持ちになった。

 

あの日、私が語った夢は

「いつか家族ができたら、音楽の好きな父と、私と、私の息子と娘でバンドを組みたい」

というものだった。

それはそれで確かに夢だったし、微笑ましく、周りからは「いい夢だね」と褒めてもらえた。

でも、それが私の本当の夢だったのか、と言えば違ったのだと思う。

こんな誰からも否定されないような夢ではなく、本当はもっと心の奥に眠る夢があったはずだ。

ただ、恥ずかしくて、そんな場では語れなかったのだ。

 

先生は私のスピーチに対して何もダメ出しをしなかったし、むしろ「良い話だ」と褒めてくれた。

でも、私自身はわかっていた。本当に語りたかったのはこれじゃない、と。

 

人に語れない夢は、叶わない。

 

今ならその理由がわかる。心のどこかで「私にはできない」と思っているからだ。

やりたいことはやりたいと、好きなことは好きだと、どんな場所でも語り続けられる人こそ、本当の夢を叶えられるのだと思う。

 

私もようやくこうして夢を語れるようになった。

「分不相応かもしれない」と思いながらも、人に夢を語ることで、自分自身に言い聞かせることができるようになった。

もし、あの日の1分間スピーチをもう一度やり直すとしたら、私は何と言うだろう?
たぶん、こうだろう。

「絵の仕事をしたい。」

あのときの私がこれを言えたなら、もっと早く本当の夢に向き合えたのかもしれない。

だけど今、語ることができる自分がいる。

 

これからももし、自分の本当の気持ちを隠すような時が訪れたら、

あの日の先生の言葉を思い出したいと思う。

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