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読書記録16「楽園のカンヴァス」原田マハ

初めての作家の文章にはなかなか慣れることができず、いつも冒頭数十ページで苦戦するのだけど、それを超えたらいつも「終わらないで!終わらないで!」と思いながら読んでいます。この本は、最後本の数十ページになる時まで、全く終わりが読めなくて、どうやってこれだけの内容を最後まとめていくのだろうと感じました。

 

結論。もっと続きが読みたい。とても面白い本でした。

 

最近、ずっと苦手意識のあった西洋絵画に興味が持ててきて、特にルソーにハマっていたところだったから、そういえば、原田マハさんを読んでみよう!と思ったんです。普段あまり小説を読まない、というより、好きな作家のみ全部読み尽くすタイプの私は、新しい作家の開拓は勇気がいることで、よっぽどでないと手を出しません。気づけばここ6年くらいは、好きな作家も含めて全然小説を読んでいませんでした。ビジネス書みたいなのはすごく読むんだけど、私にとって読書は勉強で、小説を読むのは娯楽や趣味の意識があって、仕事をサボっているような気がしてしまい読めなかったんです。

 

最近になって、「また小説を読もう」と思ったのは、自分の創作にとって、小説を読むことがとても大変な役割を持っていたような気がしてならないから。いい文章を読むこと。ビジネス書とかとはまた違う創作物を読むことは、創作への刺激にもなっていたかもしれないと思い返すようになったからです。

 

読書はあらゆるジャンルを満遍なく読むことが大切だと何かで聞きました。歴史・哲学・ビジネス、あと文学もちゃんと。それが自分を成長させるための読書だと。以前の私は今とは逆に小説ばかりを読んでいて、「好きな作家ばかり読むのは、それは読書してるうちに入らない」みたいなことを、たしか私より読書家の母に言われました。そうですね。たしかに小説も、映画も、漫画も、美術も、好きなものばかり手をつけていたのでは世界が広がらないですね。これからは積極的に新しい作家に触れて行こうと思います。

 

この物語の作中のピカソが、ものすごくカッコいいんです。

 

当然ながらフィクションなので、実際に存在したピカソはそんなセリフを言っていないのですが、まるで本当にそう言ったのではないかと想像させるピカソのセリフと行動がカッコ良すぎてたまらりませんでした。

 

最近ピカソの話ばかりnoteに書いている通り、私はもともとピカソは大好きだけど、この本を読んでルソー時代の若いピカソにさらに惚れてしまいました。

 

なんていうのだろうこの気持ちは。よく韓国の歴史ドラマを見ているときの感情に似ている気がしました。。実際の歴史上の人物は、決してドラマのような人ではないかもしれないのに、かっこいい俳優がカッコよく演じているから好きになるような気持ち。もしくは同人誌や二次創作の影響でそのキャラクターを推しになる気持ちにも似ています。「楽園のカンヴァス」の登場人物は誰しも魅力的だったけど、絶対原田マハさんは、ピカソだけ特別カッコよく描いているだろう!と感じてしまいました。

 

原田マハさんの本は、美術の知識がないと読むのが難しいかなと思ったけど、ピカソもルソーもよく知らなくても、よくできたミステリーとして面白いです。

 

私が今更おすすめするまでもない人気作ですけど、ぜひたくさんの人に読んでもらいたいです。

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