マチオモイカレンダーと私の桜
今日から4月ですね。
ゆうちょ銀行カレンダー、ゆうちょマチオモイカレンダー2021の4月には私の切り絵で描いた宇都宮城と桜が掲載されてます。
画像はゆうちょ銀行ホームページをスクショしてお借りしました。
ぜひ下記ホームページもご覧ください。
https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/activity/calendar/calendar/2021/abt_act_ymc_2021_b04.html
こちらは年末に配布されていたカレンダー。色々と思い巡る昨年の2020年の3月に地元を思って描かせていただきました。
せっかくなので、今回の絵に込めた私のマチオモイを綴っておきます。
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宇都宮城は1868年の戊辰戦争で焼失し、私が子供の頃は宇都宮城址公園はお城の跡地としてのとても広い公園となっていました。
私の家自体が、もともとお堀だった場所にあるらしく、すぐ近所で小学校の帰り道にもなっていたので、毎日学校帰りには友達と走り回って遊んでいました。
見晴らしのいい丘の上には大きな桜の木が数本あり、丘の芝生には白詰草やレンゲ草の花畑が、
周りには枝垂れ桜や河津桜、白木蓮、雪柳やヤマブキが咲乱れ、春は宇都宮城址公園がもっとも美しい季節でした。
私が中学生の時、宇都宮城の一部復元が決まり、復元工事がはじまりました。
工事は何年もかかるので、その間に仮囲い(塀)に絵を飾ろうときまり、私の中学校の美術部が壁画を描くことになりました。
当時3年生、副部長だった私は他の2人と「大名行列」の模写を描きました。
これが人だらけ、大変で大変で、、全然うまく描けずに恥ずかしい感じで、もう2度と大名行列は描きたくないと思いましたが、お披露目の際には当時の市長さんも来てくださって、私はずっと市長さんのファンでしたから、大変嬉しかった記憶があります。
大名行列の絵は改めて見たくはないですが、市長さんとみんなで撮った思い出の写真は、今度実家に帰ったら探してみようと思います。
そして、数年が経ち、私が20歳になったころ宇都宮城址公園は、お城の一部が再建された綺麗な広場になっていました。
お堀の周りには桜並木が、ますます春が似合う公園になって、頻繁に餃子まつりも開催されています。
私にとって、春といえば、宇都宮城址公園の桜です。
毎年、毎日飽きるほどそばにあった桜が、今もあの頃の記憶と共に、毎年咲いてくれています。
今回掲載していただいた、「ゆうちょマチオモイカレンダー」は2011年の震災をきっかけとしているそうです。
もともとは日本全国のクリエイターが自分の「町への想い」を表現して「わたしのマチオモイ帖」として紹介する展覧会活動が2011年に始まり、2013年からゆうちょ銀行との共同プロジェクトとなったようです。
とても素敵で温かいコンセプトの活動です。
私が今回の作品を制作していた2020年4月は、コロナでもっとも不安な時期を過ごしていたときでした。
2011年の震災以来、改めて生きること、人生について深く考えさせられた時期だったと思います。
私は19歳で東京に出てきてしまい、ちょこちょこ地元には帰るものの、あまり地元愛があるとは自分で思えなくて、応募を決める前は、「私なんかが宇都宮を描いてはいけないのでは?」と思っていました。
でも外出自粛が始まり、地元にも帰れなくなってはじめて、恋しさや、地元の美しさを感じるようになりました。
そして、「あ、今なら描けるかも」と思ったんです。
自粛中だったから実際に現場に行って描けなかったので、心の中の風景として描いたのも、絵としては良かったのかなと思ってます。
ベビーカーの親子、近所の老夫婦
若いカップル、中高生
車椅子の家族、
仕事の合間に立ち寄ったような人。
宇都宮城址公園に桜を見に来る人は
色んな方がいます。
たくさんの人の中に、この桜が咲いているんでしょう。
悲しい事に、2020年の春、私の祖父と叔母が闘病の末、相次いで亡くなりました。
外出の許可をもらって、叔母が最後に家族と観に行ったのが、城址公園の桜だったようです。
私は宇都宮の桜が1番すきです。
私が最後に見たいのもやっぱりこの桜です。
この4月のカレンダーの絵、
「よみがえった宇都宮城と桜」の切り絵には
しんみりしながらも
明るい希望を込めて描きました。
4月のカレンダーに掲載していただき、本当にありがとうございました。
マチオモイカレンダーには、クリエイターそれぞれの愛する風景があります。
誰もが知っている名所カレンダーにはない美しさがありますよ。
平石智美
2021.4.1
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