制作記録「思慕」葡萄の切り絵
一周年を迎えたアトリエのグループ展が、いよいよ迫ってきました。
展示自体はずっと前から決まっていて、ゆっくりと時間をかけて納得のいくものを作りたいと考えていたものの、結局いつも通りに直前の制作に!
でもいいんです。その方が私らしいから。
グループ展では、私は切り絵と水彩画でいこうと考えて、切り絵もやはり新作を。
色々とアイデアスケッチを起こして、その中から、秋らしく「葡萄」を描いてみようとなりました。
まずは、デジタルでイメージ画を作ります。
画面を斜めに交差する枝の上に葡萄があるイメージ。
サイズはF20号。
下地を塗ります。
今回の下地は珈琲と墨、赤系と茶系の顔料と赤みのゴールドのポスターカラーを多めに突っ込みました。
画像で伝わらないけど、肉眼で見るとアルコールインクアートのような美しい下地に「このまま抽象画にしてしまいたい」との思いがよぎる。
下地塗りは偶然性が高いから、上手くいかなくても困るんだけど、上手くできすぎても上に絵を重ねてしまうのがもったいなくなるので、どちらも困ります。
下地に見とれるのはほどほどに、パーツを作ります。
時間と心の余裕がないので、あまり経過を撮影してない。
まずはメインの葡萄を作ります。
画仙紙で切り絵を作り、絵の具で染めていきます。
一粒一粒和紙を貼り、完成。楽しい作業です。
次に、葡萄のシルエットを切り、紫に染めます。
いろんなパターンの葉っぱを切り、墨や金色で染めます。
パーツを並べてレイアウトを考えます。
これが本当に頭の痛くなる作業!
答えはないが後悔はしたくない。あと苦労は報われたい。無駄を出したくない。
考えすぎて頭が沸騰する。
大体決めたら、奥のパーツから貼っていきます。
上に貼った白い和紙に下地の色が浮いてくる。
それがまた面白いです。
床に置いてレイアウトを考えても、立ててみるとイメージが違う事がわかったので、メインの葡萄の配置はイーゼルに立てた状態で、マスキングテープで貼って慎重に検討することにしました。
メインの葡萄が貼れました。金箔を散らしてみます。
仕上げに胡粉をドロッピングしたりスプレーしたり、金色の絵の具を飛び散らせます。
完成。
今回は、画廊での展示らしく本額に入れてみました。
前作の七夕の作品は、ほぼイメージ図通りにできましたが、今回は下地が個性的で魅力的に仕上がったため、下地も生かしてレイアウトし直した作品になりました。
こんな偶然性が楽しいし本当に難しい。同じものはできないですね。
下地の力もあり、空気感のある作品になったかと思います。
ぜひご覧いただければと思います。
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