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私が「白い切り絵」で使う「白い紙」について

こんにちは平石智美です。

 

今回は私の切り絵の中でも最も代表的な作風である「白い切り絵」の素材、

白い紙について紹介したいと思います。

 

 

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世の中にはたくさんの白い紙がありますね。その種類は黒い紙の種類の何倍になるでしょうか。

 

 

あらゆる用途で白い紙は生産されており、その中で、「切り絵にはこれを使わなくてはいけない」という決まりはありません。

そもそも切り絵用の白い紙は存在しないので、他の用途の紙を切り絵に使っているのです。

 

私もまだまだ素材については追求している最中ですが、

現在使っている白い紙について、なぜそれを選んだかについてお話ししていこうと思います。

 

 

その前に、白い紙を選ぶ際の大前提についてお話しします。

 

それは「透けない」こと。

 

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こちらはイメージとして用意した写真なので、どれがなんの紙とかではないのですが、白い紙は結構、裏側が透けてしまうというのがわかると思います。切り絵は裏側に細かく色の和紙を切貼りして仕上げていくため、裏側が見えてしまうとカッコ悪いです。大前提として「透けない」厚さを意識しましょう。

 

私が作品に使っている白い紙

 

私が現在作品に使っているのは「コットンライフ」「タント」という紙肌に特徴のあるファンシーペーパーと、「水彩用画用紙」です。

画用紙は様々な種類がありますが、お気に入りは「マルマンの図案シリーズ」それとマルマンの「ヴィフアール」です。

 

この4種類を基本にしています。

 

「コットンライフ」「タント」は真っ白からクリーム色、ベージュまで微妙に違う色味が豊富にあるので、作品の雰囲気で使い分けています。

それではそれぞれの紙を詳しく紹介します。

 

 

コットンライフ S

 

1990年に特殊東海製紙さんより発売された紙で、キャンバスのような布のエンボスの紙肌が特徴的な紙です。

上品さもあり、カードや招待状などにも使われてます。

 

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(このようにOA用カードとしても売っていたりします)

 

紙厚は私は146Kgのものを使っています。それ以下は少し、裏に貼った色紙が透けてしまうのでおすすめしません。

 

 

 

 

(私は上記サイトで買ったことはないですが、価格もいつも仕入れているお店と変わらなかったので、一応参考に貼らせていただきました。ご興味のある方はどうぞ。)

 

 

紙そのものに味わいがあるため、作品の余白(白い部分)が多くなってしまっても手抜きのように感じず、白を大胆に残したデザインが作りやすいのがお気に入りのポイント。

 

とても硬く、エンボスにカッターの刃を取られるので切りにくいのですが、見た目の美しさからほとんどの作品でメインにこの紙を使用しています。

 

 

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キャンバス風の紙肌がわかるでしょうか。高級感がありますね。

 

色は真っ白の「スノー」という種類をメインに、茶系の色も作品に合わせて取り入れていたのですが、茶系が気づいたら廃盤になってしまっていました!ショックです…

切り絵専門店コントラストさんより発売されている、私のデザインした白い切り絵シリーズにもこの紙が使われています。色々検討した結果、同じ紙を採用していただけてありがたいです。

 

 

 

ちなみにコットンライフを活用している紙系の作家が周りにおらず、「珍しい紙を使っているね」と言われます。ペーパークラフトでは色数の都合もありタント・マーメイドあたりが多いでしょうね。

 

 

大丈夫とは思うけどコットンライフが廃盤にならないようもっと広まって欲しいです。

 

 

タント

 

タントはイタリア語のTanto(たくさん)から名付けられた特殊東海製紙さんのファンシーペーパーで、色数は200色ほどだそう。

主張しすぎない上品なエンボス加工が美しく様々な商品で見かける紙です。

 

その色数の多さから、タントのみでカラフルな切り絵を制作される作家さんも多いのですが、私は主に、白い切り絵の台紙としては真っ白の「Nー8」を使っています。

厚さは100kg、薄くて切りやすいものの、少し透けてしまいます。

 

https://www.gazaihanbai.jp/products/detail/product_id/6615.html

 

白い切り絵を始めた頃はメインで使用していましたが、このあと紹介する「マルマン画用紙」に出会って、そちらの方が切りやすいと感じてからタントの使用はやめてしまいました。最近は重ねるタイプの切り絵の2層目や3層目として使っています。

 

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大きくて細かい作品はタントを使うことも多いです。

 

 

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少し薄いため裏側の和紙が透けてるのがわかるでしょうか。それも味わいと思って工夫して色つけできればOKなのですが、私は透けないのが好きなのでなるべく厚手の紙を使いたくなります。

 

★ヴィフアール水彩紙

 

マルマン株式会社の水彩紙でリーズナブルながら高級水彩紙のような描き心地の画用紙。私はもともとずっと水彩画に使用していた紙です。

https://www.gazaihanbai.jp/products/detail/product_id/49624.html

 

水彩用紙特有の上品で柔らかな紙肌が、和紙の柔らかさととてもよく合います。

 

紙厚があるので立体感が目立つのがお気にいり。ただ、248kgという厚さのせいでとても切りにくいです。

 

あまり細かくないシンプルな図案を、かっこよく上質な感じに仕上げたいときに頑張って使用しています。

 

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ヴィフアールを使った作品。

 

大きな作品で立体感や紙の温もりを見せたい作品に使うことが多いです。紙肌がきれいなので人物画に良く合います。

画用紙のためパステルのノリも綺麗です。

 

 

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★マルマン株式会社図案シリーズ

最後に、最近一番のお気に入りがこれ。「マルマンの図案シリーズ」です。

 

 

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みなさん一度は目にしたり使ったりしたことのある定番の画用紙ですね。

私は白い切り絵をはじめてからしばらくしてからこの紙に出会いました。

 

紙の厚さは126kgで、タントより厚いものの、紙の性質なのか柔らかくてこちらの方が切りやすいです。

 

普段スケッチなどで使用していたこの画用紙。切り絵に使うという発想はなかったのですが、試しに切ってみたら、とても切りやすく、しかも裏に置いた紙も透けない絶妙な紙だったことに驚きました。

 

画用紙としてはとても安価なため、そこまで高級感は出ないのですが、何より切りやすく、透けないというメリットが大きすぎるため、現在は教室ではこの紙を使っていただいています。

 

マルマンさんに許可いただいて、私の書籍でも紹介しているくらい大好きで、おすすめな紙です。

 

紙の専門店や大きな画材店まで行かなくても、近所の文具店でも必ず置いてある点も、皆さんにおすすめしやすい理由ですね。

 

 

★その他 和紙・和紙ハガキなど

 

最近は上記の紙以外に、和紙も取り入れています。

耳付き和紙の葉書などは、質感も良く小さな作品も上質に見せてくれるため、小作品に使っています。

 

 

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(耳付き和紙のはがきで作った作品)

 

 

和紙は画用紙やファンシーペーパーよりも高価で、厚みのあるものも少ないため、同じように使うことは難しいというかしていないのですが、染めて色をつけることができるので、染めた紙で切り絵をしたい場合は和紙を使います。ただその場合は「白い切り絵」ではなくなってしまうので、詳細はまた別の記事で紹介したいと思います。

いかがでしたでしょうか。

 

私が2016 年に「白い切り絵」を始めてから5年。作風と道具も年々変化していますので、今後もこれら以外の紙を取り入れていくことでしょう。

 

そもそも使う紙に決まりはありませんので、皆さんも、自分の好みも取り入れて自分に合った紙を探していただければいいかなと思います。

 

それでは今回は「白い切り絵」の紙についての紹介でした。

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