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スランプなんて存在しない

スランプという言葉は、自分の力不足を外的な要因に押し付け、変わりゆく現実から目を背けるための口実に過ぎないのかもしれません。

 

著名なアーティストであれば、それなりに制作に対する責任や、制作にかける時間や労力があるでしょうからスランプという期間ができてしまうのは納得します。

さらにはスランプに陥ることで人々の関心を引くこともできるかもしれません。

 

しかし、まだ名もないアーティストにとって、スランプなどというものは本当は存在しないのではないかと私は思うのです。

 

「スランプ」だと思っている時間はただの停滞であり、怠けではないのかと。

 

アーティストが「描けない」と感じる瞬間には、必ず理由があります。

自分の技術が行き詰まっているのか、感性が鈍っているのか、あるいは新しいテーマに挑むことを恐れているのか。そのすべては、手を動かし、描き続けることでしか明らかになりません。

 

描くことを放棄して「スランプだ」と言い訳している間に、他の誰かは確実に自分の手を動かしている。その事実がさらに自分の手を止めてしまうのです。アートは、待つ者に報いるものではありません。

 

スランプでもいい。とにかく描いてみる。それが唯一、自分がスランプだと思っている現状を抜け出す手段です。

 

実際に描いてみると、最初はひどい作品が生まれるかもしれません。

それでも、その「ひどい」と感じる経験こそが自分の成長を促すのです。

 

 

 

スランプというのは、挑戦しないことから生まれる錯覚に過ぎないのです。

描き続けるうちに、手が思考を追い越し、やがて新しい感覚や技術が身につきます。

描くことで、自分の感性や技術のギャップを埋めることができるのです。

 

スランプは存在しません。ただ、描かないことがスランプの真実です。

 

手を動かし続ける限り、そこには必ず次のステップが待っています。創作は静止することのない運動であり、スランプだと感じるのは、どこかでその運動をやめてしまったからです。

 

一度止まってからまた動き出すには少しの苦痛が伴うでしょう。

けれど、そのスランプから抜け出す唯一の道は、また、走り出すことだけ「描くこと」だけなのです。

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