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「友がみな、われよりえらく見ゆる日」よ

今年は、本当に密度が濃かった。
初めて、年月のスピードに負けずに生き抜けた気がする。

5月までの病んでいた日々が遠い過去のようで、私は新しい世界を切り開いたつもりだった。
けれど、11月が過ぎ、時間に余裕ができると、がむしゃらに走ってきた自分にふと立ち止まり、思う。「私は一体何をしていたのだろう」と。そして気づけば師走になり「今年ももう終わりか」なんて例年のように呟いている。

 

振り返れば、いろんなことがあった一年だった。
しかし、数字や結果だけを見れば、2024年は何も残せていない。
仕事も収入も、過去最低だ。貯金は減り続け、いよいよ危ない状況だろう。
でもそんなことはどうでもいいほど充実して幸せだった。
……そう感じていたはずなのに。ふと一人になると、またわからなくなる。
「私の人生、このままでいいのだろうか」と。

 

友人が「新刊の打ち合わせ中!」と投稿したストーリー。出版が決まり、執筆に励む仲間たちの輝き。その姿に、自分が取り残されているようで、焦り、ダメ人間のように思えてしまう。

「ただ今は休んでいるだけだよ」
そんなふうに自分を慰めなくとも、誰にも責められてないと、心のどこかでは理解しているはずなのに、私が私を責めてしまう。

 

 

“友がみな、われよりえらく見ゆる日”

 

誰にでも、そんな日はあるはずだ。
そして、その寂しさが幻想であることも、ちゃんとわかっている。
それでも、どうして抗えないのだろう。

けれど最近、ようやく気づいたのだ。
私の寂しさは、すべてこの寂しさに集約されることを。そして、それにまともに受け止める必要も、振り回される必要もないのだと。

 

そう思えるのはきっと、私がやっと「私」を見つけたからだろう。
他人を羨むことなく、私の生き方と、今まで歩いてきた道に、自信を持てるようになったからだ。

 

「友がみな、われよりえらく見ゆる日」よ
私はもう君には負けない。

 

わが暮らし楽にならざりとも、
私の幸せは、私自身の手が握っているのだ。

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