私が切り絵に使っている黒い紙について。
こんにちは。切り絵作家の平石智美です。
切り絵と言えばなんと言っても「黒い紙」の線の美しさが印象的ですね。
私も切り絵特有の黒い紙のラインに魅せられ、切り絵を始めた一人です。
今回は、世の中にたくさんある黒い紙の中から、私が切り絵で使用している「黒い紙」についてご紹介します。
私の愛用の黒い紙。
私は主に上質紙とタントを使っています。
たまに紙の質感を重視したい作品では、レザックなどの紙肌に特徴のあるファンシーペーパーを使うこともあります。
その1、上質紙
上質紙は一般的なコピー用紙のような質感の紙です。印刷用に様々な色の色上質紙が作られています。黒もその一つです。
上質紙の特徴
上質紙の特徴は何より豊富な厚さがあることです。
下記の図のように、コピー用紙より薄い特薄口から、画用紙レベルの最厚口などがあります。
厚さの単位はkgで表し、多くなるごとに厚さが増します。(Kg数による厚さの名前はメーカーにより若干の差があるかもしれません)
おすすめは中間くらいの厚さである「厚口や中厚口」。
切る力もそこまで必要ではなく、のり付けをした時にも程よく厚さがあるので破けにくいです。
私の教室では、初心者の方には上質紙の厚口を使用してもらっています。
その後好みに応じて、それより厚いものが良い方はタント紙を、もっと薄いものが好きな方には特薄口を使用してもらっています。
特薄口に関しては、画材店などでも取り扱いがないと思うので、ネットで購入することになります。
その2、タント
タントは凸凹した紙肌が特徴的な紙です。表面のしっかりした質感が程よく高級感もあり、作品を引き立ててくれる、とても使いやすい紙です。
大きな作品の場合、紙がしっかりしていたほうが破けにくく、安心して作業ができます。
また、黒の見える面積が増えることから、紙肌に高級感がある方が、より作品が美しく見えます。
タントはそれらのバランスが良く、好んで使っています。
ちなみにですが、紙名のタントは「たんと色(種類)があるという意味で名付けられた」とどこかで聞いたのが印象的でずっとそう思っていたのですが、もとはイタリア語の「TANTO」(多く、たくさんの、という意味)からきているそうです。
本当にたくさんの色数があります。タントのみでカラー切り絵を制作されている方も多く、切り絵やペーパークラフトでもとてもメジャーな紙となっています。
その他の黒い紙
●特徴的なファンシーペーパー
紙肌がキャンバス地のようなコットンライフ、革のような模様や、縞のあるレザック、キラキラのラメが入ったミランダなど、紙の専門店に行くと数え切れないほどのファンシーペーパーと呼ばれる特徴的な紙が、バラ売りされています。
個性的な作品を作りたい方はぜひお気に入りの紙を探してみると良いでしょう。
●黒画用紙
最近では百円ショップで必ず黒い画用紙が置いてあるようになりました。画用紙は比較的厚さがありしっかりしているので、初心者には扱いやすいと思います。
初めて使うにはおすすめです。
●黒い和紙
和紙にも黒いものは存在します。漆黒に染められた和紙は、他の紙とは一線を画した美しさがあります。
しかし和紙は、のりをよく吸収してしまう性質から、カラー切り絵では和紙と和紙との接着が難しくおすすめしていません。
色をつけないタイプの切り絵や、画用紙に絵具で色を塗った後に切り絵を重ねて表現する手法のカラー切り絵なら、黒い和紙も問題なく使うことができます。
また、和紙自体は柔らかいため切りやす衣のですが、繊維が多く、スパっと綺麗に切らないと毛羽が出てしまうことから、好みに分かれているようです。
まとめ。まずは手に入る様々な紙を試して、作品によって使い分けよう。
今回は、私が好んで使っている黒い紙についてお話させていただきました。
それぞれの切り絵作家により、おすすめする紙は違うことと思います。
それは作風により、合う紙合わない紙があるからです。
また、切る力によっても使いやすい厚さが変わるように、人それぞれの相性もあります。
切り絵を始める際は、まずは身近に手に入れられる様々な黒い紙を用意し、切り比べてみて自分に合った紙を見つけていく、というのが1番かと思います。
ぜひ紙の違いも楽しんで切り絵をしてみてください。
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