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読書記録11「堀文子 画文集 花」堀文子

私は花が好きです。

 

私の描く作品から花を取ってしまったら残るものがほとんどないほど、いつも花を描いているつもりです。

 

けれど堀文子さんの花への愛情をこの本から知って、私なんてちっとも花を知らないし愛していないんじゃないかと思わされてしまいました。

 

昨年から堀文子さんの花の絵に惹かれている私。

 

もう何十年も前に発行されたこの画文集をブックオフで見つけて思わず運命を感じました。

 

私も「花」は作品作りの上で、なくてはならない最も大切なモチーフとしているので、いつかは花の絵に自分の文章を載せて、詩集のようなエッセイ集のようなものを作りたいと思っていたのです。まさに、このような。そうか、このスタイルは「画文集」というのか、素敵だなぁ。

 

花それぞれに想いを馳せて描く。書く。

 

その文章からは、画家の知性や優しさ強さを感じ、自身の幼少期や思い出などエピソードのお話からはリアルな情景や感情が伝わって来るものの、文章に添えられた花の絵からは、どこまでも優しい理想郷のようなものしか感じられなくて、そのギャップが心地いいと感じました。

 

私もいつかこんな画文集を描きたい。

 

そう思いながら、まだまだ自分にはこの世界観に到達するには人生の、作家としての経験値が少なすぎるなと、自分の未熟さを知らされました。

 

この優しく知的な世界観を体に染み込ませたくて、「朗読」しながら読みました。☺️

小学生みたいですね。

 

 

 

絵を描く皆さんへ、皆さんは花は好きですか?

 

花はとても身近なモチーフです。

 

絵を描くなら風景スケッチにせよ静物画にせよ、花を描かないでいられることはほとんどありません。

 

しかし「花を描く」場面になると「花には詳しくないし、花なんてどれも大して変わらないのでは」とおっしゃる方が時折居られます。でもそれは花に興味がないというのを認めてしまっていることで、花に失礼ではないかと思うのです。

 

そういう私も花それぞれの違いを気にするようになれたのはつい最近です。ただ華やかだから、美しいから絵に描く。それだけで花の本質には目を向けているとは言えませんでした。

 

堀文子さんの絵と文章からは、花を一つの生き物として、個性を持った「人」のように大切に向き合われていることを感じました。

 

その画風は、決してリアルなタッチではないものの、「本物を知っている人」の描き方だと感じます。

 

花の生き生きとした命が感じられるからです。

 

この画文集をきっかけに、またひとり、目標にしたい世界を持つ画家に出会えたように感じています。

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