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読書記録21「モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事」

美術館や、美術品、絵画に興味がある人はぜひ読んでほしい一冊です。

 

専門的な内容も多いですが、名画の修復のエピソードなど知識がなくても興味深いと思います。この本を読んでから美術館に行くと、きっと見方が変わるような気がします。古いものそれが見られることに感謝の気持ちを持てるでしょう。

 

素晴らしき裏方のお仕事。

 

ほんと物凄い途方もない仕事をされています。尊敬しかありません。修復家の方の力で、私たちは何十年、何百年も前の絵画を美術館で見ることができるのですね。

 

海外では当たり前に美術館に雇われている「修復士」が日本の美術館では仕事がないということ。雇ってもらえないから、だから修復家が育たないということ。この本を読むと、日本は本当に文化的に遅れているんだなと実感します。とても残念でなりませんね。

 

著者で修復家の岩井さんは、修復という仕事があることを勧めてくれたのは美術館に勤めていたお父様であるとおっしゃっています。絵では食べていけないからと。

 

そういえば私も10代の頃「絵描きは食べていけないから、修復家になったらどう?」と母に言われたことを思い出しました。母は建築出身なので美術系よりも修復という仕事が身近だったのかもしれません。当時はもう修復家の仕事ぶりはテレビでもよく見かけましたが、繊細すぎて私には無理だと感じました。芸術は爆発していたい!というか好き勝手、見た目だけを考えて描いていたかったんですね、若い頃は。

 

その時限りの完成度ではなく、作品の管理、保存性などに深く気を配るようになったのは、自分が作家になって作品を売るようになってからです。

 

今では機会があれば、修復について本格的に学んでみたいと感じています。

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